「幸福な死を」(主に技術的な)制作話


先日ニコニコ動画にアップした「幸福な死を」という曲についての、
打ち込みの技術的な部分だけに絞ってみた制作話しです><

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囁き声もその一環なのですが、今回の曲は「歌の表現」そして「全体のコントラスト、カタルシスの演出」に対し特に気を遣っているのです。サビでうわあっと来るドラマチックな展開、そこに辿り着くまでに飽きさせず、かつ盛り上げすぎないAメロ・Bメロの構成は一体どうしたら作れるものか〜〜といった感じで、今回も多くの曲を参考に作っていました。

コメント欄やTwitter等見ていて、気付いていらっしゃる方もいるようですが、今回の曲は特に盛り上がる場所の音が非常にDubstepめいています。
しかしながら、全体の構成、展開として、実は今回骨子としたジャンルはProgressive Houseでした。


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【展開について】
非常にハイクオリティな電子音楽が一同に会し、日々真剣勝負が行われているBeatportという海外の超有名サイトがありまして、とりあえずクオリティを上げたいならここからアイデア引っ張ってこよう、ということで色々見ていたのです。
すると 盛り上がる部分が少なく、落ち着いたパートがとても多く、それでいて最初から最後までずっとメロディアスなのに、それをうまいことドラマチックな音楽として完成している印象の曲がProgressive Houseというジャンルに集中していました。

  • AVICII - || AVICII - SILHOUETTES (ORIGINAL MIX)

Sander van Doorn & Mayaeni - Nothing Inside (Original Mix)

両者の曲に共通していたのは、リズムのないパートを歌の表情で魅せ、うまいことテンションを下げないまま身体だけ落ち着かせていくやり方で、
これはもうとってもドラマチックで、もう両手上げてウワーー美しいーーってなっちゃうのね!
というわけで、どうにかこうにか 歌のテンション、歌の表現をもってメロを引っ張って行こうと思ったのです。



また、これは理屈っぽいやり方なんですが AメロからBメロへ移るにあたり、ボーカルと同じ音域の音をバックに増量することによって、リズムを入れることなくボーカルの音量とテンションを上げていくやり方を採っています。
この画面は、WindowsMediaPlayerのフリー視覚プラグイン「フルーティー」にて、AメロからBメロへの音域の移り変わりを示したグラフです。


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【音について】
かといって 曲のテーマ的に、全部が全部美しい音というのも違う気がして
盛り上がる部分はDubstepの音を参考にして作っていきました。
正直、普段はベースが前面に出まくっているDubstepしか聞かないのですが こういった、メロディ・コード感を強烈に押し出すタイプの作り方も存在して、ポップに構成するならコレだ!という感じで取り入れて行きました。
2:30〜辺りがちょうどいいかも。

Seven Lions - Below Us (feat. Shaz Sparks)

また、低音の安定感とメリハリに特に気を遣っています。
最近、クラブという場でDJとして出演させて頂き、自分の曲しか掛けてないわけですが あそこはとっても低音がハッキリと出る環境で、これは今後しっかりやらねばいかんということで、こちらがBメロからサビへと移るグラフです。


・80Hz以下を担当するSubBassを入れ、低域は全部これに任せて音量感を安定させる
・綺麗で歯切れの良いキックを使う
・それ以外のパートは全て低域をカットする
・マスターに低域のGateを噛ませて、低域が鳴り終わった後はすぐに音を切るように設定
という具合に、低音の出る環境で聞いた時にとてもキモチイイ感じになるようにやっています。うおー低音入ってきたー!!感を演出出来てるといいなあ・・・ww


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MIDIについて】
ピアノロール譜自体はそこまで凝ったことはしていないのですが、そういえば一つありました。


色の濃い方がSuperSawという、和声を司るトランス系シンセ音のパートで、色の薄い方がベースパートです。
ここはサビの頭部分なのですが、ルート音はベースに任せて和声からは削除し、SuperSawは実質一度に三音しか鳴らしていません。
ベースやライドシンバルにほとんど迫力のある音域を持っていかれていて、ここでSuperSawまで派手に鳴らしてしまうとゴッチャゴチャになるため、このようにクローズドボイシングでスッキリとさせてもそれっぽくなる(と思う)のです。


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【細かい所】
オケ制作時に、ちゃんとボーカルが収まる場所を空けておく というトコも気をつけています。何気に、ボーカルが入ってきてる時は目立つ音を全部外しています。w
ワブルベースですが、こんな複雑な音色だとそれはもう複雑なパラメーターを弄ることになるので 自分で一から作るより、その辺のワブルベースプリセットを拾ってきて、そこからイメージに近づけていく方がよいです。普通に気力が持ちません。
サブベースは、単純なサイン波でも十分いい仕事します。気持ち程度にベースコンプも通してます。w
それとミクのささやき声に関しては、「ごめんね ごめんね」の時同様、Cubase付属のVocoderでホワイトノイズと混ぜる感じで作っています。やっぱりLogicだと専用のプリセットがあるようです・・・いいなあ。ww


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【おまけ】マジックと色鉛筆で描いたよ。

イベント情報!

4/28-29 二日間に渡る超ボーマス"H25"ブースにて、
4/30 M3 "L-13a"ブースにて参加します!


●全旧譜(きくおミク\1,000、KIKUOWORLD \1,000、DOZED OFF、夢の鐘)に加え、
●きくお詩を寄稿してしまったヤバ面白げな人達の合同詩集「中庭」(サンプル有!) 
●さらに未公開曲込み6曲組『「きくおミク2」を会場限定で少しだけ先行公開しました盤』\500 
を頒布します!


CD、今回のは文字通り会場限定です。
収録曲は後々出るであろう「きくおミク2」に全て収録されますが、ミニCDながら、まだ発表は先になるであろう未公開曲2曲以上、既公開曲の高音質音源、ジャケは「きくおミク」の si_ku さん書き下ろしと、きっと来場記念にはなってくれるものと思います!w

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4/27 金曜夜、18:00〜 渋谷CRAWLにてDJ的なことをします!

クラブという場で、大音量できくおボカロ曲を30分間通しで聞くという体験ができます。当日券有、きくお枠は18:30〜、面白い音楽をやる人ばっかのイベントなのでぜひぜひ! 

お仕事まとめ

ここ最近のお仕事情報などなどまとめですーー!

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ボカロ曲『塵塵呪詛(チリチリジュソ)』『ごめんね ごめんね』『天国へ行こう』が
JOYSOUNDよりカラオケ配信されました!

こんなにアクの強い曲でも入れてもらえるのか。なんという自由度、これはもう信頼度が向上せざるを得ない

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「EXIT TUNES PRESENTS Supernova 7」に、ボカロ新曲書き下ろしましたが何とアルバムのトリ!!www



「ボカ☆フレ!-VOCALOID(tm) FRESHMEN-」に、ボカロ曲「物をぱらぱら壊す」収録されております〜〜



SEGA初音ミク and Future Stars Project mirai」ゲーム内BGM1曲制作しました!


美少女ゲーム『リア充催眠』乃木坂水輝ED担当しました〜


美少女ゲーム『桜ノーリプライ』風間眠兎ED担当しましたー!


『築山さえのgdgdえあらじお!』ラジオ内ジングル・BGM制作しました〜

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ライブ楽しいな!DJって言うのかライブっていうのかわからないけど


2012年2月3日 0003:a galaxy odysseyリリースライブ 出演しました!


【VOCALOID SPIRITS vol.1】ライブ出演しましたー!

ボカロ新曲アップ + ボーマス参加

2/5(日)池袋にて開催の「THE VOC@LOiD M@STER19」に出展します!
配置はB28です。きくおミク・KIKUOWORLD・旧譜をちょっとずつ頒布予定です!
多分まったり進行かと思います、みんなと話したいです。ぜひぜひご来場ください!
公式サイトはこちら↓

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ボカロ新曲「塵塵呪詛」アップしました!
こちらは、IA公式デモソングとなります。
公式サイトはこちら



ボカロ新曲「ぽっかんカラー」もアップされています!
こちらは、兎音りおん公式デモソングとなっていますー。
公式サイトはこちら

冬コミ参加情報+最近のお仕事情報まとめ

C81 冬コミックマーケット、参加情報+ここ最近のお仕事なども含めて総まとめです!
Kikuo Sound Worksブースは、12/31 3日目西く-10b です。ぜひぜひお越しくださいっ。




KIKUOWORLD

まずはこちら、新譜・きくお完全オリジナルインストアルバム「KIKUOWORLD」です!
特設サイトはこちら。通販予約とか初回限定盤とか色んな事やってます。イベント価格\1,000。




智 -WISDOM-

続いてこちら、サークル「俺++(Includeore)」様に東方アレンジ2曲参加してます!
オリエンタルなクラブ・ダンス系サウンドなのですよ。





プチリズムふぉお///

そしてこちら、サークル「ポヤッチオ」様にボーカル曲1曲参加です!
萌えキュン系オリジナルボーカルアルバム第4弾なのです。なんと1曲目!

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TEATIME様「らぶギア」

主題歌・BGM全て担当してます!
毎度ながらここのエロゲはぶっ飛びすぎてます。ヤバイです。



英語も学べるデジタル絵本「えぽポン!」
ボーカルアレンジ曲を3曲、BGMをたくさん提供してます!PCからは見れないのかな?

冬コミ新譜「KIKUOWORLD」発表!!



KIKUOWORLD

完全オリジナルインストアルバム・11曲組です!!
2011/12/31 冬コミ3日目 西く-10b「Kikuo Sound Works」ブース イベント価格 \1,000 にてリリースです〜

やたら凝ってる特設サイトはこちらっ→http://siku.c.ooco.jp/kikuoworld/

アート作品はなぜ意味がわからないのか(twitterまとめ)


アート作品というのは基本的に意味のわからないものだけども、それを理由にとりあえず馬鹿にするというのは完全にお門違いで
それはなぜかというと、そもそもアート作品とは一般大衆向けに作られるものではないからなのです。
その辺の「アート意味わかんね」については思うところあるので、書いてみようかと。



創作者っていうのは誰しも、いい作品が作りたいって思ってます。
いい作品を作るためにはそれなりに時間が必要で、やっぱり趣味の範囲だとある程度限界があるのです。
そんで創作に使うための時間を増やすにはやっぱりお金が必要で、創作ばっかしてたらそれはやっぱり、作品を売って稼ぐってことになる。


んで問題は誰に買ってもらって、創作生活を支えてもらうかーってとこなんですが
例えば音楽、漫画、アニメっていうのは大量複製ができる作品(複製芸術)だから、主な購買層は「できる限り沢山の人(大衆)」になる。だから、複製芸術は必然的に「大衆に買って貰える作品であることが前提」になってくるのです。



それに対して、例えば絵画っていうものは一点物で
音楽CDみたいに1ヶ月で何千何万枚売るだとか、そういうことができない。
1ヶ月で4枚の絵が描けるとするなら、やっぱり手取りで1枚4万円以上とかないとヤバイわけで、無論流通の関係で絵の値段というのはもっと高くなる。


すると、そういう高価な作品を制作する創作者を買い支えてくれる人ってのは、必然的に「一握りのお金持ち」になる。
だから一点物の販売っていうのは、必然的に「一握りのお金持ちに買ってもらえる作品であることが前提」になってくるわけで、そのお金持ちの市場のことを「アート市場」と呼ぶんだと思う。



重要なのは、複製芸術がクリアすべき最初のハードルが「大衆市場で理解されること」なのに対し、
アート作品は金持ち市場ウケ前提、つまり「一部の界隈の人間に理解されること」、これがクリアすべき最初のハードルとして設定されているということ。

つまり、その界隈事情を知らない一般人が「アート意味わかんね」と感じたり、「普通の感覚」では全く理解出来ないものがアート界隈で大人気だったりするのは全くもって当然のことで、それを知らずにアート作品などを頭ごなしに馬鹿にするのはお門違い・・・ということなのです。


ただ、後はもうこれは個人的な見解なのだけど、ポップなだけの音楽がクソであるのと同様、「アート界隈だけに理解される作品」も、やっぱりよろしくないと思う。
ポップながら確かなものを感じる音楽が素晴らしいのと同様、大衆に理解できる余地のあるアート作品は、やっぱり素晴らしいと思うのです。

また複製芸術を生業とする人は大衆向けに、一点物の芸術を生業とする人はアート界隈向けにまず作品を設定しなければならない、という点以外はどちらも同じ、もっといいものを作っていきたいと願う作家であることには違いないので
そこがわかれば、アートだけイミフでキチガイで創作的には別世界ジャンルみたいな偏見的見方も、ある程度なくなるんじゃないかと思います。